歯が夜に痛くなるのは病気のサイン?考えられる原因と適切な対処法を紹介します2025.08.27
夜になると急に歯がズキズキして眠れなくなることはありませんか?
昼間は気にならなかったのに、横になると痛みが強まるのは、血流や自律神経の変化、炎症の悪化などが関係していることがあります。
虫歯や親知らず、歯ぎしりや知覚過敏など原因はさまざまで、痛みの出方や強さも人によって異なります。
夜間は歯科医院をすぐ受診できないため、自宅でできる応急ケアを知っておくと、辛い時間を少しやわらげられます。
本記事では、夜に歯が痛いと感じる原因や対処法について詳しく紹介します。
どうして夜になると歯が痛くなるの?

夜になると、昼間は気にならなかった歯の痛みが急に強まることがあります。
血流や自律神経の働きが変わりやすい時間帯で、炎症や腫れがある部分が刺激を受けやすくなるためです。
横になると血流が頭に集まりやすい
ベッドやソファで横になると、日中とは違って血液が重力の影響を受けにくくなり、頭や顔に集まりやすくなります。
血管に流れる血液が増えると血管が膨らみ、歯の中の神経や周りの組織が押されてしまいます。
特に炎症がある場合は、圧迫によって痛みが強まり、心臓の鼓動に合わせてズキズキすることもあります。
横になるだけで日中は気にならなかった痛みが出やすくなり、眠りづらく感じることがあるのは血流が頭に集まりやすくなるためです。
リラックス時の自律神経が影響している
人の身体は、自律神経という仕組みで血流や体温をコントロールしています。
日中は交感神経が優位になって血管が引き締まっていますが、夜やくつろいでいるときは副交感神経が活発になり、血管が広がって血流が増えます。
血流が増えると歯の神経にも血液が多く届き、炎症や腫れがある場合は痛みが出やすくなります。
さらに、副交感神経が優位になると痛みに敏感になりやすく、疲れやストレスが溜まっていると余計に痛みを感じやすくなります。
入浴やお酒で痛みが強くなることも
お風呂やお酒は、体を温めたり血流を良くしたりする作用があります。
夜の入浴は副交感神経を働かせ、血管を広げるため、歯の神経が刺激されやすくなります。
お酒も同じように血管を広げる働きがあるため、炎症や腫れがある場所では痛みが悪化することがあります。
特に、熱いお湯に長く浸かったり、多めに飲酒したりすると、痛みが急に強くなることもあります。
夜に歯が痛いと感じるときは、長風呂や飲酒を控えることがおすすめです。
夜の歯痛が起きてしまう原因とは
夜に歯が痛くなるのは、虫歯や炎症、親知らず、歯ぎしり、知覚過敏など、いくつもの原因が考えられます。
症状によって痛みの感じ方や強さも変わってきます。
虫歯が神経まで進んだ「歯髄炎」
虫歯がエナメル質や象牙質を越えて、歯の奥にある神経(歯髄)まで達すると、細菌の影響で炎症が起こります。「歯髄炎」と呼ばれる症状です。
炎症が起きると血流が増え、神経が押されることで強い痛みを感じます。
特に夜は血管が広がりやすく、脈打つようなズキズキとした痛み(拍動痛)が出やすくなります。
冷たい飲み物や食べ物で鋭い痛みが走ることもあり、さらに症状が進むと、何もしていないときでも痛みが続くようになります。
歯ぐきや歯の根元の炎症
虫歯や歯周病が進むと、歯を支える歯根膜や歯の根の先にある組織に炎症が起こることがあります。
「歯根膜炎」や「根尖性歯周炎」と呼ばれ、歯ぐきの奥に膿が溜まることもあります。
神経が既に死んでいる歯では痛みを感じにくいものの、周りの歯ぐきがズキズキと痛むことがあります。
夜は唾液の量が減って細菌が活発になるため、炎症が悪化して痛みが強まりやすい傾向があります。
親知らずの周りで起きる腫れや痛み
親知らずは、生えるためのスペースが足りないことが多く、斜めや横向きに生えてしまうことがあります。
その結果、歯と歯ぐきの間に汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖して炎症を起こします。
「智歯周囲炎」と呼ばれる症状で、腫れや強い痛みを伴います。
特に下の奥の親知らずは顎の神経に近く、炎症が広がると耳や喉にまで痛みが及ぶことがあります。
夜は血流が増える影響で、腫れや痛みがさらに悪化しやすくなります。
歯ぎしり・食いしばりで歯や顎に負担がかかる
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯ぐき、顎の骨に大きな負担がかかります。
長く続くと歯の表面にヒビが入ったり、歯を支える組織が炎症を起こす「咬合性外傷」になることがあります。
就寝中は無意識に強い力がかかるため、朝起きたときに顎の疲れや歯の痛みを感じることもあります。
さらに、筋肉の緊張が続くと肩こりや頭痛などを引き起こす場合もあるでしょう。
冷たい刺激でしみる「知覚過敏」
知覚過敏は、歯の表面のエナメル質が擦り減ったり、歯ぐきが下がったりして象牙質が露出することで起こります。
象牙質には神経につながる細い管があり、そこから冷たい飲み物や甘い食べ物、風などの刺激が伝わると痛みを感じます。
多くの場合は一時的な痛みですが、症状が悪化すると日常生活でも沁みやすくなります。
夜は気温が下がったり感覚が敏感になったりして、沁みる痛みが強くなることがあります。
自宅で出来る応急ケアを紹介します

夜に歯が痛くなったときも、自宅でできるちょっとしたケアがあります。
血流を落ち着かせたり、口の中を清潔にすることで、一時的に痛みを和らげられます。
お口を冷やして血流を抑える
夜に歯が痛くなる原因のひとつに、血流の増加による神経の圧迫があります。
保冷剤や氷を清潔なタオルで包み、頬の外側から当てることで、血流がゆるやかになり痛みを和らげやすくなります。
お口を冷やす時間は15分程度が目安で、直接歯に氷を当てるのは避けましょう。
知覚過敏や虫歯の場合、冷却が刺激になって痛みが強くなることもあるため、症状が悪化するようなら中止してください。
お口を冷やす際は力を入れず、ゆっくりと当てることがポイントです。
鎮痛薬を服用する
強い痛みが続くときは、市販の鎮痛薬を使うことで一時的な緩和が期待できます。
成分としてはロキソプロフェンやイブプロフェンが広く使われており、「歯の痛み」に対応しているものを選びます。
空腹時でも飲めるアセトアミノフェンは胃にやさしいため、体調によって使い分けが可能です。
歯の痛みが強くなる前の服用が効果的ですが、歯科医院での診察前に過剰に服用すると、症状や痛みの部位が分かりにくくなることがあります。
鎮痛薬の用量や用法は必ず守るようにしましょう。
口の中をやさしく清潔に保つ
歯の痛みが、食べかすや細菌の増加で悪化している場合は、口の中を清潔に保つことで和らぐことがあります。
ぬるま湯でのうがいや、柔らかめの歯ブラシを使ったブラッシングがおすすめです。
歯と歯の間に物が挟まっている場合は、歯間ブラシやデンタルフロスでやさしく取り除きます。
力を入れすぎたり無理に押し込むと、歯ぐきに傷がつき炎症が悪化する恐れがあります。
歯磨き粉は刺激の少ないタイプを選び、時間をかけて丁寧に行うことが大切です。
迷わず歯医者さんへ行くべきケース
強い痛みや腫れ、発熱などがあるときは、症状が進んでいるかもしれません。
こうしたときは無理せず、早めに歯医者さんを受診することが大切です。
痛みが何日も続く・繰り返す
歯の痛みが数日以上続いたり、治まったと思ったのに何度もぶり返したりする場合は、歯の中や歯ぐきに炎症が広がっているかもしれません。
虫歯が神経まで達しているケースや、歯の根に膿が溜まっているケースでは、自然に良くなることはほとんどありません。
そのまま放置すると炎症が悪化し、治療が長引いたり、抜歯が必要になることもあります。
市販薬や応急処置で一時的に痛みが和らいでも、原因を取り除かない限り再発するため、早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。
顔や歯ぐきが腫れてきた
頬やあごが腫れてきたり、歯ぐきがぷっくり膨らんできたりするのは、細菌が入り込んで膿がたまっているサインです。
炎症が進むと腫れが一気に広がり、顔の輪郭が変わってしまうほどになることもあります。
顔や歯ぐきが腫れてくる原因は、重度の虫歯や歯周病、親知らずの周囲の炎症などさまざまです。
腫れの症状を放っておくと、細菌が血流に乗って全身に影響を及ぼす危険もあります。
自宅で冷やしても改善は難しく、時間が経つほど治療が大変になるため、できるだけ早めの受診をおすすめします。
発熱や頭痛、口が開けにくい
歯の痛みと一緒に発熱や頭痛があるときは、炎症が全身に広がり始めている可能性があります。
特に、親知らずや顎まわりの炎症で口が開けにくくなっている場合は、炎症が顎の筋肉や関節にまで及んでいるサインです。
症状が悪化すると食事や会話がしづらくなるだけでなく、気道が狭くなり呼吸に影響することもあります。
発熱や頭痛といった症状は自然に治ることはほとんどなく、入院や手術が必要になるケースもありますので、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
まとめ
夜になると強まる歯の痛みは、血流や自律神経の働き、炎症の進み具合など、複数の要因が重なって起こることがあります。
虫歯や親知らず、歯ぎしりや知覚過敏などが原因で、そのままにすると悪化してしまう場合もあります。
夜間は歯医者さんにすぐ行けないため、冷やしたり口内をやさしく清潔に保ったり、鎮痛薬を使うなどの応急ケアが役立ちます。
ただし、痛みが何日も続く、顔が腫れてきた、発熱を伴うなどの場合は、我慢せず早めの受診が安心です。
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お口の健康が気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。
