乳児の虫歯を治療しないのは危険?歯科医が伝える永久歯への影響とは2025.10.17
乳児の虫歯は、「そのうち乳歯は抜けるから放っておけば問題無い」と思われることもありますが、永久歯の成長や噛み合わせに影響することがあります。
毎日の歯磨きやおやつの習慣、定期的な検診を意識することで、乳児の虫歯は十分に予防が可能です。
当記事では、乳児の虫歯を治療しない場合のリスクや、今日から取り組める虫歯予防の工夫を分かりやすく紹介します。
乳児が虫歯になる原因とは?

乳児の歯は、生えたばかりで非常に柔らかく、虫歯になりやすいのが特徴です。
大人の歯に比べて虫歯の進行も早く、痛みを上手く伝えられないことから、気付かないうちに悪化してしまうこともあります。
エナメル質が薄く、虫歯が進みやすい
乳児の歯は「乳歯」と呼ばれ、永久歯に比べると、表面を覆うエナメル質が薄く出来ています。
エナメル質の厚さが大人の歯の半分ほどしかないため、酸に弱く、虫歯が早く進みやすいのが特徴です。
さらに、乳歯は石灰化が十分でなく、歯の質自体も柔らかいため、溶けやすい性質があります。
甘いお菓子やジュースを摂る機会が多いと、口の中に酸が出来やすくなり、短い期間で虫歯が広がってしまうこともあります。
歯が生え始めたころから虫歯のリスクはあるため、早い段階から予防を意識してあげることが大切です。
痛みを訴えられず、発見が遅れがち
乳児や小さな子どもは、歯の痛みや違和感を上手く言葉で伝えることが出来ません。
虫歯になっても「歯が痛い」と言えず、食事のときに泣いたり、口を触るしぐさを見せたりするだけで終わってしまうことがあります。
見た目の変化もわずかで、表面が白く濁る程度の初期段階では気付きにくいことも多いです。
そのため、虫歯が神経の近くまで進行してから判明するケースも少なくありません。
お子さんの歯を家庭で観察するとともに、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことで、早い段階で発見し、軽い処置で済ませられる可能性が高まります。
初期の虫歯は白く見えることもある
乳児の虫歯は、黒く穴が開くようなイメージとは違い、初期の段階では歯の表面が白く濁って見えることがあります。
「ホワイトスポット」と呼ばれる状態で、歯の表面からカルシウムが溶け出し始めているサインです。
白く見えるだけでも歯が弱くなっており、放っておくと茶色や黒色に変化し、穴が開くほど進行してしまいます。
ホワイトスポットの時期は痛みがほとんど無いため見逃されやすいですが、明るい場所でお子さんの口を観察すると見つけやすいです。
気になる変化があったら、歯科医院を受診して相談してみましょう。
乳児の虫歯を治療しないとどうなる?
乳歯は生え変わるものですが、自然と放っておけば良いわけではありません。
虫歯を放置すると、歯の成長や噛み合わせ、さらには永久歯の健康にも影響を及ぼすことも考えられます。
虫歯が一気に広がる
乳児の歯は大人の歯よりも表面のエナメル質が薄く、酸に弱い性質があります。
そのため、虫歯ができるとあっという間に進行し、隣の歯へも広がってしまうことがあります。
虫歯の原因となる菌は、糖分をエサにして酸を作り出します。
おやつや甘い飲み物を頻繁に口にすると、口の中が酸性の状態になりやすく、虫歯菌が活発に働きます。
特に寝る前にミルクやジュースを飲む習慣があると、唾液が減って自浄作用が弱まり、虫歯が広がりやすくなります。
小さな虫歯をそのままにしておくと、他の歯にまで影響が及び、治療が大掛かりになることもあります。
永久歯の健康に悪影響を及ぼす
乳歯の下では、次に生えてくる永久歯が少しずつ成長しています。
虫歯を治療せずに放置すると、虫歯菌が歯の根っこにまで広がり、膿が溜まることがあります。
膿が永久歯の芽に近い部分に触れると、永久歯の形成が上手く進まなかったり、変色を起こすケースも少なくありません。
また、虫歯菌が口の中に増えた状態が続くと、永久歯が生えたあとも虫歯になりやすい環境が残ってしまいます。
歯並びや噛み合わせが乱れる
乳歯は“仮の歯”ではなく、永久歯がきれいに生えるための道しるべのような役割をしています。
虫歯として歯が早く抜けてしまうと、空いたスペースに隣の歯が傾いたり、動いたりしてしまいます。
そうなると、永久歯が生えてくる場所が足りなくなり、歯並びがデコボコになったり、噛み合わせがずれてしまうことがあります。
さらに、虫歯による痛みがあると片側ばかりで噛む癖がつき、顎の発達に偏りが出ることもあります。
乳歯の時期にバランス良く噛む習慣をつけることが、将来のきれいな歯並びにつながります。
歯の痛みや食事のストレスにつながる
虫歯が進むと、歯の内側にある神経が刺激されて痛みを感じるようになります。
小さな子どもは「痛い」と言葉にできないため、食事中に泣いたり、口を押さえたりする様子から、虫歯だと気付くことが多いです。
歯が痛いと食べるのを嫌がり、食欲が落ちてしまうこともあります。
さらに、痛みがあると歯磨きを嫌がるようになり、汚れが残って虫歯が悪化するという悪循環に陥ることもあります。
夜眠れなくなるほどの痛みを感じるケースもあるため、少しでもおかしいと感じたら早めに歯科で相談すると安心です。
今日から出来る!虫歯を防ぐ4つの習慣

乳児の虫歯は、毎日のちょっとした習慣でしっかり予防出来ます。
歯磨きの仕方やおやつの与え方を少し意識するだけで、虫歯のリスクを大きく減らせます。
仕上げ磨きで磨き残しを無くす
乳児は自分で上手に歯を磨けないため、保護者が毎日の「仕上げ磨き」をしてあげることが大切です。
歯と歯ぐきの境目や、奥歯の溝などは汚れが溜まりやすく、虫歯になりやすい場所です。
歯ブラシを小さく動かしながら、力を入れすぎず優しく磨きましょう。
上唇の裏にある筋(上唇小帯)を押さえると磨きやすくなります。歯が生える前から口の中を触られることに慣れておくと、歯磨きを嫌がりにくくなります。
毎日の仕上げ磨きは、乳児の虫歯を防ぐためにも、日々の習慣として取り入れましょう。
おやつの時間を決める
食事やおやつを食べると、口の中は一時的に酸性になり、歯の表面が溶けやすくなります。
その後、唾液の働きによって中性に戻っていきますが、食べる回数が多いと歯が休む時間がなくなり、虫歯が出来やすくなってしまいます。
おやつは時間を決めて食べ、食後は水や麦茶で口の中をさっぱりさせましょう。
だらだら食べを防ぐだけでも、乳児の虫歯を防ぐ効果があります。
寝る前のミルク・ジュースは控えめに
寝る前にミルクやジュースを飲む習慣があると、虫歯が出来やすくなります。
眠っている間は唾液の分泌が減るため、糖分が口の中に長く残り、虫歯菌が活発になるのです。
ミルクやジュースに含まれる糖分が酸を作り出し、歯の表面を溶かしてしまうこともあります。
ミルクを飲んだ後は、柔らかいガーゼで歯の表面を軽く拭くだけでも効果があるので、試してみてください。
もしも寝る前に何かを飲むときは、お水を飲むのが安心です。
定期検診で早めの発見・早めの対処
乳児の歯は非常に小さく、虫歯が出来ると進行が早いため、定期的に歯科医院でチェックを受けることが望ましいです。
初期の虫歯は見た目では気付きにくいこともありますが、歯科用のライトや顕微鏡を使えば早期に発見可能です。
歯が生え始めたら、3〜4か月に一度を目安に受診しましょう。
定期検診では、歯の汚れを落としてもらったり、歯磨きの仕方を教えてもらえます。
大樹歯科医院のやさしい治療方針
大樹歯科医院では、小さなお子さまから大人まで安心して通えるよう、痛みを抑えたやさしい治療を心がけています。
マイクロスコープで精密にチェック
大樹歯科医院では、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を用いて、肉眼では見えにくい細かな部分まで丁寧に確認しています。
虫歯の範囲を正確に見極めることで、必要以上に歯を削らずに済みます。
初期の虫歯も早期に発見できるため、乳児の歯にもやさしく、将来の健康な歯を守ることにつながるので安心です。
出来るだけ歯を削らない治療
当院では「出来るだけ削らない治療」を重視しています。
虫歯が見つかっても、すぐに削るのではなく、歯の状態を丁寧に確認したうえで最適な方法を選択します。
必要な部分だけを最小限に処置することで、歯に余計なダメージを与えないことにもつながるのです。
お子さまが怖がらないよう丁寧に対応
小さなお子さまが安心するように、やさしく声をかけながら、無理のないペースで治療を行っています。
いきなり処置を始めるのではなく、まずは診療室の雰囲気に慣れてもらうところからスタートします。
乳児の虫歯を「無理に治療しないほうが良いのでは?」と迷う保護者の方にも、丁寧に説明しながら進めています。
ベビーカーOKのバリアフリー設計
院内はバリアフリー設計のため、ベビーカーや車いすのまま入ることが出来ます。
靴を脱がずに利用でき、抱っこしたままの通院も安心です。
通路や待合スペースも広く、ご家族みんなが快適に過ごせるよう工夫した空間が広がっています。
小さなお子さま連れでも通いやすい環境が整っていますので、安心してご来院ください。
まとめ
乳児の虫歯は、ほんの小さな変化から始まり、気付かないうちに進んでしまうことがあります。
乳歯は一時的なものではなく、永久歯の成長や歯並びを支えるため、毎日のケアが欠かせません。
毎日の仕上げ磨きや定期的な歯科検診を通して、お子さまを虫歯から守ってあげましょう。
大樹歯科医院では、乳児や小さなお子さまの虫歯の治療・予防にも丁寧に対応しています。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
