歯周病の原因とは?ゆっくり進むお口の変化に気づくために2025.04.24
歯ぐきが腫れたり、歯みがきのときに血が出たりすることはありませんか?
もしかすると「歯周病」が関係しているかもしれません。
歯周病は、自覚がないままじわじわ進行することが多く、大人の多くが抱えている身近なお口のトラブルです。
放っておくと歯を支える骨にも影響し、歯を失う原因になることもあります。
本記事では、歯周病の原因や進行のしくみ、予防のポイントについて、やさしくわかりやすくご紹介します。
歯周病ってどんな病気?

歯ぐきのトラブルから始まって、気づかないうちに歯を支える骨にまで影響することがある歯周病。
実は、とても身近で多くの人が悩んでいるお口の病気なんです。
“沈黙の病気”と呼ばれる理由
歯周病は、初期のうちはほとんど症状がないまま進行していくのが大きな特徴です。
歯ぐきがほんのり赤く腫れたり、歯みがきのときに少し血が出たりすることはあっても、強い痛みを感じることは少ないため、気づかない方も多いのです。
そのまま放っておくと、知らないうちに炎症が深く広がり、歯を支えている骨が溶けてしまうこともあります。
目立った変化がないまま進んでしまう様子から、「沈黙の病気(サイレントディジーズ)」と呼ばれることがあります。
歯肉炎と歯周炎の違いを知ろう
歯周病は大きく分けて、「歯肉炎」と「歯周炎」という2つの状態があります。
歯肉炎は歯ぐきにだけ炎症がある、比較的軽い段階で、赤く腫れたり、歯みがきのときに血が出たりします。
ただ、上記の時点ではほとんど痛みを感じないため、自分では気づきにくいことも。
一方、歯周炎は炎症が進んで、歯を支える骨にまで広がった状態です。
歯ぐきの腫れがひどくなったり、歯がグラグラしたり、口臭が気になってくることもあります。早めに歯肉炎に気づいてケアすることがとても大切です。
歯周病の主な原因とは?
歯周病は、毎日のちょっとした習慣やお口の環境がじわじわ影響して進んでいく病気です。
特に気付きにくい原因について、ひとつずつわかりやすくご紹介していきます。
プラーク(歯垢)がすべてのはじまり
歯周病のきっかけになるのは、「プラーク(歯垢)」と呼ばれる白っぽいネバネバです。
プラークは、ただの食べかすではなく、たくさんの細菌が集まったものです。
特に、歯と歯ぐきの境目に残りやすく、そのままにしておくと、歯ぐきが赤く腫れたり、出血したりする原因になります。
プラークの中には、歯周病を引き起こす細菌も含まれていて、放っておくと少しずつ歯ぐきの中に入り込み、炎症を広げてしまいます。
毎日の歯磨きでしっかり落とすことがとても大切ですが、きれいに磨いたつもりでも、残ってしまうこともあります。
まずは、プラークが歯周病の出発点になるということを知っておくことが大切です。
歯石になると、自分では取り切れない
プラークをしっかり落とせずに時間がたつと、だんだん硬くなって「歯石」へと変わってしまいます。
歯石になると、もう歯ブラシでは取れなくなり、自分ではきれいにすることが難しくなります。
しかも、歯石の表面はざらざらしているため、また新しいプラークがつきやすくなる悪循環にもなります。
歯石は、歯ぐきの近くだけでなく、歯ぐきの中や歯と歯の間など、見えにくいところにもできやすいため、気づかないうちに歯周病が進んでしまうこともあります。
頑固な歯石を取るには、歯科医院での専用の器具を使ったクリーニングが必要です。
「ちょっと気になるな」と思ったタイミングで歯科に相談することが、歯ぐきを守る一歩になります。
放っておけない!歯周病が進む原因
歯周病が進んでしまうきっかけには、日々の暮らしや体調のちょっとした変化が関わっていることもあります。
お口の健康を守るために、歯周病が進む原因を知っておきましょう。
タバコは歯ぐきの大敵
タバコは体によくないと知られていますが、実はお口の健康にも大きな影響を与えます。
特に、歯ぐきにとってタバコは大敵です。タバコに含まれるニコチンには血管を細くする働きがあり、歯ぐきに必要な酸素や栄養が届きにくくなってしまいます。
その結果、歯ぐきが弱ってしまい、細菌と戦う力も落ちてしまうのです。
また、出血などの症状があらわれにくくなるため、歯周病に気づくのが遅れてしまうことも。
治療の効果が出にくくなることもあるため、タバコは歯周病の進行を早める原因のひとつといわれています。
歯ぎしり・食いしばりが歯にダメージを与える
眠っているときや、集中しているときなどに、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしてしまう方は意外と多いものです。
歯ぎしりや食いしばりの習慣があると、歯や歯ぐきに強い力がかかり、少しずつダメージが蓄積されてしまいます。
特に歯周病がある場合には、歯を支える骨がさらに傷んでしまうこともあります。
また、歯に力がかかることで、歯と歯の間にすき間ができたり、食べ物が詰まりやすくなったりすることもあります。
ストレスが影響していることもあるので、気になったら一度、歯科医院で相談してみると安心です。
歯並びや詰め物の不具合もリスクに
歯並びがガタガタしていたり、詰め物やかぶせ物が合っていなかったりすると、どうしても磨き残しができやすくなります。
特に歯と歯のすき間や、奥歯の裏側などは、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい場所です。
汚れがたまりやすい場所にプラーク(歯垢)がたまると、歯ぐきに炎症が起きやすくなり、歯周病につながることがあります。
ご自身では気づきにくいことが多いので、定期的に歯科でチェックしてもらうことがとても大切です。
糖尿病やストレスが悪化の引き金に
歯周病は、お口だけでなく体全体の健康とも関係が深い病気です。
例えば、糖尿病の方は、血糖値が高い状態が続くことで歯ぐきの免疫力が下がり、炎症が起きやすくなります。
さらに、血流が悪くなることで傷の治りも遅くなってしまうため、歯周病が進行しやすい傾向があります。
また、ストレスがたまると、歯ぎしりや食いしばりの原因になったり、体の抵抗力が弱まってしまったりすることもあります。
日々の体調や生活習慣の乱れが、知らないうちにお口の状態にも影響を与えているかもしれません。
どこまで進んでる?歯周病の段階
歯周病は、気付かないうちに少しずつ進行していく病気です。
歯周病の段階によって症状も異なるため、それぞれの段階の特徴を知っておくことが大切です。
初期は出血だけ。でも油断は禁物
歯周病のはじまりは、歯を磨いたときに歯ぐきから血が出ることから気づく方が多いです。
痛みがないことも多いので、「少し出血しただけ」と思って放っておく方も少なくありません。
しかし、既に歯ぐきが炎症を起こしているサインなのです。
歯と歯ぐきのすき間にたまった歯垢(プラーク)に含まれる細菌が、少しずつ悪さをしている状態です。
最初のうちは見た目もあまり変わらず、自分では気づきにくいこともありますが、放っておくと炎症がどんどん進んでしまうこともあります。
初期段階であれば、歯科でのクリーニングや毎日のケアで健康な状態に戻せる可能性が高いです。
中~重度では骨が溶けて歯がグラグラに
歯周病が進んでしまうと、炎症は歯ぐきの奥まで広がり、歯を支えている骨(歯槽骨)にも影響が出はじめます。
そうなると、歯が少しずつグラグラしてきたり、歯ぐきから膿が出るようになったりすることがあります。
歯と歯ぐきの間にある「歯周ポケット」というすき間が深くなり、細菌がたまりやすい環境になるため、さらに症状が悪化しやすくなってしまうのです。
歯ぐきが下がって歯が長く見えたり、口臭が強くなったり、噛みにくさを感じることもあるでしょう。
中~重度の状態になると、歯を残すために外科的な治療が必要になることもあります。
今日からできる歯周病対策

歯ぐきを守るための対策は、実は今日からでも気軽に始められます。
難しいことではなく、日々のケアに少し気を配ることや、歯医者さんを上手に頼ることがポイントです。
正しい歯磨きとケアのコツ
歯周病を防ぐには、毎日の歯磨きがとても大切です。
ただし、「しっかり磨いているつもり」でも、実は汚れが落としきれていないことも少なくありません。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握って、やさしい力で小さく動かすのがポイントです。
ゴシゴシ強くこすると、かえって歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。
さらに、歯と歯のすき間には歯ブラシの毛先が届きにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシの併用がとても効果的です。
年齢とともに歯ぐきが下がってくると、すき間ケアの大切さが増してきます。
毎日のケアに少し手を加えるだけでも、歯ぐきの健康はぐんと守りやすくなります。
定期的な歯科チェックで安心
どれだけ丁寧におうちでケアをしていても、磨ききれない汚れや見えないトラブルがどうしても出てくることがあります。
そんなときに頼りになるのが、歯科医院での定期的なチェックです。
プロによるクリーニングでは、歯ブラシでは届かない深いところの汚れもしっかり落としてもらえます。
また、詰め物のすき間にできた小さなむし歯や、気づかないうちに進んでいる歯周病のサインなども、早めに見つけてもらえることがあります。
3か月に1回くらいのペースで診てもらうだけでも、お口の中を健康に保ちやすくなります。
「ちょっと気になるな」と思ったときこそ、気軽に相談してみると安心です。
まとめ
歯ぐきからの出血や腫れなど、ちょっとした変化にも目を向けてみることが大切です。
毎日の歯磨きはもちろん、フロスや歯間ブラシなどを取り入れた丁寧なお手入れが、お口の健康を守る近道になります。
また、タバコやストレス、体調の変化などが歯周病に影響することもあるため、生活の中で無理なくできることから少しずつ見直していけると安心です。
気になることがあれば、気軽に歯科医院で相談してみてくださいね。